今日、カフェでばったり友達に会って。
世間話しながら、ラテが入るのを待ってたわけ。
「そういえばキャシーの彼台湾から帰ってきたの?」
「先週の日曜日にやっと帰ってきたわ。」
「じゃ久々のセックスで盛り上がったでしょ?」
「それが彼ったらいっぱい発疹ができちゃって、お預け中よ。」
と、何気なくそれを口にした瞬間、急に周囲が静かになったのね。
何事かと周りを見渡すと、みんなが凄い戸惑った顔であたしを見てるわけ。
目の前に居た友達も、どう反応すれば良いのか分からない様子で。
あたしやっと何が起きているのかがわかったの。
みんな、あたしの彼氏が台湾で性感染症にかかったと勘違いしてるんだわ。
今にも周りから嫌味なヒソヒソが聞こえてきそうだったので。
「いや、発疹って言ってもそっちの発疹じゃなくてね。彼、写真撮りに短パンで山登りした時に、毒草で足がかぶれたっぽいのよ。」
少し大声でハッキリと説明して、やっとこの気まずい沈黙から抜けられた。
その後、カフェを後にして、今起きたことを考えてみたのね。
もしも、あたしがあの場でこんなことを言ったとして。
「あたしの彼、風邪引いちゃったのよ。」
「あたしの彼、骨折しちゃったのよ。」
これを聞いて、あそこまで凄い反応はしないじゃない。
むしろ、普通に聞き流されるわけよ。
こんな不謹慎なことを言うのもアレだけど。
「あたしの彼、ガンみたいなの。」
とか聞いても、性感染症ほど反応しないと思うの。
性感染症って、なんか凄く嫌なイメージがあって。
必要以上にタブー扱いされてるじゃない?
でもさ、セックスをしてれば、欲しくないものを貰うときもあるわけ。
コンドームしてたって、梅毒とか簡単に感染しちゃうこともあるし。
定期的に検査して、治療して、適切な処理をすればいいだけでしょ?
「聞いた?あの人クラミジアにかかったんだって?」
「やだー。汚いわね。毎晩何してるのかしら?」
こんなヒソヒソ話のネタになるほど凄いものなのかしら?
HIVとか、深刻な感染症もあるけど、これはコンドームでほぼ防げるしね。
なぜここまで世間は性感染症を祭り上げるのか、あたしにはわからないわ。
「あんただって、かかったことあるでしょ?」
そんなことするから、検査に行く人が減って、治療もしない人が増えるのよ。
そんなキャシーは、意外にも性感染症にまだかかったことない。
これだけセックスしてるんだから、可能性は十分にあったと思うんだけど。
やっぱり、セーファーセックスを若いうちから叩き込まれたからか。
それとも、ただ運が良かっただけなのかもしれない。
その日、家に着いてから彼にこの話をしたのね。
「あなたが性感染症にかかったって噂流すところだった。」
それを聞いた彼は爆笑してたわ。