「あ〜〜〜〜〜〜〜!男が欲しいよ!男!男!」
とよく友達が嘆くんだけど、いつもキャシーはこう返すのね。
「そんなデスパレートなオカマ、誰も手を出さないわよ?」
あたしだって、独身時代はとてもデスパレートな時期もあったから。
あんまりその友達のことを言える立場でもなく、いつも過去の経験から語っている。
あたしがトロントに来たばかりのときだったかな。
まだキャシーはカミングアウトして1年も経ってなかった上に。
男のキャンディーショップのようなトロントにすっかり舞い上がって。
自分が本当に欲しいものも知らずに、ただただ恋がしたかったのよね。
ラブコメから学んだ“恋愛”のイメージをそのまま追いかけたりして。
当時はそんなに深く考えなかったけど、恋愛を単純なものだと勘違いしてた。
恋愛がしたいから、白馬の王子様みたいな人を探していたあたし。
なんか順番があべこべになっちゃってたのよね。
そのおかげで、デスパレートで粗末な恋愛をいっぱい経験したわ。
だから、そんなあたしはいつも友達にこうアドバイスするの。
「毎晩クラブで漢漁りするのもいいけど、たまにはその労力を他のことにも使ったら?」
たとえば、夢を追いかけてみたり。
ずっとやりたかったことに挑戦してみたり。
ネットワークを広げてみたり、スキルを磨いてみたり。
宇多田ちゃんじゃないけど、人間活動も忘れちゃダメよ?
そうしていれば、いずれ自分のことも段々と理解してくるし。
自分をよく知ってこそ、やっと“良い恋愛”に巡り会えると思うのね。
それが同性婚しての子育てでも、ハッテン場でのぶっかけパーティでも。
それとも、実は恋愛にもセックスにも全然興味がなかったとしても。
そうやって、自分が納得いく生き方を見つけて行くのは大事よ。
ヘテロな恋愛像をそのまま追いかけたって。
本当は全然欲しいものと違ったとき、どうするのって話でしょ。
それに、人間ってデスパレートなときは惨めオーラが溢れ出るから。
好きな人がいても、逆にそれで遠ざけちゃうこともあるのよね。
ええ、これも経験談だけど何か?
自分のことをよく知っていて、どこか余裕のある人の方がずっとセクシーよ。
こんなことをブログに書くのは少し照れくさいんだけど。
今の彼と付き合って、初めて“良い恋愛”をしたなと思ったわけ。
というのも、これだけ今まで間違いを犯した中で学んだこともあって。
彼氏が欲しいからって、良さげな人を探してその枠に当てはめるのは違うとわかったの。
やっぱり、惹かれる人がいてこそ、そこからどんなものを目指して行くのか。
二人で一緒に試行錯誤していくのが大事だと改めて実感したし、学んだ。
こんなキャシーの小言を聞いてか聞かずか。
「でもやっぱり男欲しいんだも〜〜〜〜〜〜〜〜ん!」
と相変わらず、その友達は駄々をこねるのだった。
彼もキャシーのように学んで行くのかしら。
どのキャンディーが美味しいか、試さないとわからないもんね。
ただ、好きでもないキャンディーばっかり買い続けちゃダメよ。
ええ、これも経験談よ。