人種の壁で複雑になるゲイの恋愛。

「白人と付き合おうとしてる自分が許せない!」

と、ある日一緒にお茶してた友達が真顔で言った。

最近知り合った白人の彼といい感じになってたこの友達。

それでもなかなか先に進めないのは、人種の壁のせいだと言う。

このブログでもよく取り上げているけど。

北米のゲイ業界では、白人はブランド品で人気があって。

その一方、アジア人はフェミニンと見なされてなかなか売れない。

ゲイ出会い系アプリGrindrで失礼な人を晒すサイトでも、アジア人に酷いことを言っている人がたくさん紹介されているわ。

「アジア人はこんなにいっぱいいて、全員ブロックできないよ。」

「チンチョン(アジア人の蔑称)には返信しません。」

こんな感じの人はネット上で腐るほど見かけるわ。

人種って、トロントでハッテンする上ではとても重要な要素になっていて。

それぞれ肌の色でゲイ社会の各階級に収まると言ってもいいくらいよ。

白人と付き合うことを一種のステータスだと考える人までいる始末で、そんな人たちはポテトクイーンと呼ばれていたりする。

その逆がライスクイーンで、アジア人が好きな白人の人を指す。

ちなみに、ここまでは以前にもブログで紹介したおさらいよ。

こんなトロントのゲイコミュニティにどっぷり浸かっているあたし。

未だにこのコンセプトを理解できないというか、納得がいかないのよね。

「あたしポテトクイーンで、白人しかいけないの!」

「アジア人も、他の色もいらないから、白い肉だけ食べたいわ?」

こういう人はけっこう頻繁に見かけるし、別に特に文句もないんだけど。

白人しかいけない=白人全員いける、という意味ではないのよね。

タイプの白人もいれば、タイプじゃない白人もいるわけでしょ?

それと同じように、他の人種でもタイプな人はいるでしょ?

キャシーの場合、セックスしたいと思った人とはヤってきたし。

ステキだと思った人とはデートなり、お付き合いだってしてきたわ。

日本、中国、韓国、パキスタン、インド、イタリア、ポルトガルなどなど。

白から、黒、ブラウン、キャラメル、イエローまで、いっぱい食べてきたわよ?

たまたま今の彼氏が台湾系カナダ人というだけで、あたしにこう言う人がいる。

「キャシー、アジア人が大好きなのね。」

「いや、違うわよ?」

たまたま巡り会った彼が台湾系だったというだけで。

別に彼がアジア人だから好きになったわけではないわよ?

あたしから見て、この人種の括りはとても適当で、失礼だと思うのよね。

「タイプならやるし、タイプじゃないなら断るでいいじゃない。」

という結論もあるけれど、それでも解決しないこの問題。

もう一層深く彫り込むと、見えて来るのは人種間のパワーバランスよ。

最初の友達の話に戻るんだけど、彼はこう説明したわけ。

「別に彼はステキだし、とても賢いし、今一緒にいて幸せなのね。でも…、彼と一緒にいると、いつも彼が肌の色が理由で悩むんだよね。」

「周りから僕を白人好きのポテトクイーンだと見られるのも嫌だし、アジア人好きの彼が、僕を好きなのが肌の色なのか、その向こう側なのかとか、アジア人同士で恋愛するときには感じなかったことがいっぱい湧き出て来る。」

あたし、その日は頭が冴えていたようで、こう返したわけ。

「アジア人として、白人と付き合うなら、このしがらみからは逃げられないと思うの。」

「白人側からはよく見えなかったとしても、アジア人側はこの人種の格差をひしひしと感じる。」

「それはあたしたちの見方の問題でもあるし、社会の構造の問題でもあるから、逃げられるようなものじゃないのよね。」

そんな感じで話が続いて、その友達はもう少し様子を見ることにすると言った。

キャシーの他の友達の中では、こうした面倒くさいことが嫌で。

タイプの人でも、白人との恋愛は避ける人もいるわ。

人種の問題って、個人の問題を遥かに超越したものでもあるから。

どうしても、自分の力じゃどうにもならない部分が出て来るのかもしれない。

人種に限らず、男女の恋愛もそれに近いものがあるのかもしれないわ。

常識のようにフツーに見えても、よく見ると何かがおかしい。

そんな社会のフツーに従わないと、恋愛も複雑になるみたいね。

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