“カナダはゲイにとってとても住みやすい国だ”
この文なんだけど、残念ながらここでは終わらない。
その後にはこう続いているのよ?
“ただし、都市部に住む白人ミドルクラス層に限る”
ちょっと、その隠れてた部分は誰も教えてくれなかったんだけど。
ただ、そうはいっても法的には同性愛者の権利は保護されているわけで。
同性愛に刑罰のある国々からは亡命者がカナダにやって来る。
この前、仕事でイスラム系クィアたちによるラマダンイベントに参加したら。
たまたまトルコから来たトランス女性と知り合って、いろいろ語ったのよ。
「あたし、トルコにあのまま居たら殺されてたわ。」
と、真剣なまなざしで彼女は話してくれたんだけど。
カナダに移住した今でも、トルコ系コミュニティとは距離を置いているそうだ。
そういう意味では、カナダに救われたという人は確かに多い。
しかし、みんながみんなそうラッキーではない。
同性愛者やトランスジェンダーとして難民を申請したとしても。
「君、全然ゲイに見えないじゃないか。」
と、何もゲイのことを知らない無知な政府に蹴り返されることも少なくない。
今、コミュニティ内で大きなニュースとなっているのが。
二児の母であるウガンダ人のレズビアン女性のケースである。
ウガンダといえば、ここ数年同性愛を死刑にしようと頑張っていることでも有名で。
多くのトロント在住のウガンダ系の活動家たちが必死にそれを防ごうとしている。
そのウガンダで様々な暴力やレイプを経験したこのレズビアン女性は2004年にトロントに難民として亡命した。
それ以来、彼女はカナダに残ろうとで永住権を手にしようともがいていた。
そんな中、先日カナダ政府より彼女に届いた手紙にはこう書かれていた。
「同性愛者である有力な証拠がないため、亡命は認められない。」
このまま何もしなければ、彼女は8月4日にウガンダに追い返されてしまう。
そうなれば、彼女だけではなく、その子供たちにも危害が及ぶだろう。
そもそも、“有力な証拠”ってなんなのよ?
誰かがあたしに急にゲイであることを証明しなさいとか言われても困るわよ。
ぱこんぱこん男同士でアナルセックスしてるとこでも撮影すればいいの?
言っとくけど、男とアナルセックスするノンケだってごまんといるのよ?
大体、いったいどうやってストレートだと証明するのよ?
ちなみに、彼女はウガンダにいる知人に手紙を書いてもらったり。
元パートナーの写真を提出したらしいんだけど、それでもダメってこと?
こんな人の命を左右するような決断を下す立場にいる人たちは。
星の数ほど様々な形のある同性愛者やトランスジェンダーの人たちを見て。
ハリウッド映画に出てくるようなステレオタイプにハマる人以外には。
「君、本当はゲイだって嘘ついてるんでしょ?」
と平気で言っちゃうから呆れるわ。
こんなひどいことがまかり通る国を、あたしはLGBTQが住みやすい国とは呼ばない。
他の国がひどすぎるだけで、カナダは多少マシってところね。
ちなみに、彼女は弁護士と共に最後まで諦めずに戦うそうだ。
このケースについてもっと知りたい方はこちらへどうぞ。
キャシーには応援することくらいしかできないけれど。