トロントの街は誘惑がいっぱい。

今日は仕事帰りに、ステーキ肉を買いに肉屋さんに入ったの。

この肉屋、イタリア系の家族が経営してるんだけど。

そこでいつも働いてる看板息子がけっこうイケメンで。

もうキャシーは行く度にメロメロ。

肉屋のお兄さんって、響きだけでセクシーじゃない!

そのお兄さん、今日もステーキ肉売り場でキャシーを待ってたの。

とりあえず、お手頃なサイズのステーキ肉がなかったから。

「なんか小さめなステーキ肉ないかしら?」

ってお兄さんに微妙に目線を送りながら、聞いたわけ。

「小さいサイズたっていろいろあるけど、どれがいいんだ?」

もうステーキ肉よりそれを扱うお兄さんの手に全神経を集中するあたし。

「お兄ちゃんのこと信じてるから、おすすめをもらうよ。」

って冗談っぽく言ったら。

「俺が選ぶなら一番大きいの選んじゃうぜ。」

と返されて、ドキドキしてしまって。

「あたし、小さいのが好きだから小さいの下さい。」

って、あたし何を言ってるのって感じになっちゃった。

てっきり、いつのまにか話題がステーキ肉から肉棒になったのかと。

そのステーキ肉たちのそばに横たわるソーセージたちをしみじみ見ちゃったわ。

そういえば、この前もあるクレープ屋さんに入ったら。

なかなかステキなフランス系のお兄さんがクレープを焼いてて。

ちょっと忙しそうにしてたから、手が空くまで待ってたんだけど。

「何頼むんだい?」

と聞かれて。

「そちらの仕事が一段落してからで大丈夫ですよ。」

って、返したら。

「同時にいろいろ扱うのは得意だぜ。」

ってウィンク付きで言われちゃったの。

なんか響きがおかしい。違う違うと思いながらも。

そのお兄さんがフェラしながら、両手で手コキしてるとこ想像しちゃったわ。

その後、クレープが焼き上がって、お兄さんがわざわざ持って来てくれて。

それを受け取って、お店を出ようと思ったら。

「歩いて食べるんなら、剥いてあげるよ。」

「え?何を?」

「ほら、その紙がついたままじゃ食べづらいでしょ。」

って、キャシーが両手で持っているクレープの包装紙を剥いてくれた彼。

もう頭の中では凄い想像をしてしまい動揺してたあたし。

なかなか荷物がまとまらず、バタバタしちゃって。

「ドア持ってもらってるのにすみません。」

と、キャシーを見送ろうとしてるお兄さんに謝ったら。

「なーに。僕は今日は全然暇だから。」

とまたウィンクされながら言われて。

お礼だけ言って、お顔真っ赤でお店をそそくさと去りました。

友達に言うと、いつも自意識過剰だよと言われるんだけど。

これはきっと誘惑だと思うのよね。

というか、そう思うことにするわ。

こういう曖昧で思わせぶりなやり取りこそ、ワクワクして楽しいもの。

しかし、ステーキ肉はお兄さんの言うことを聞いて大きめのを買うべきだったな。

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