3月に帰国したあたし。
平日の中途半端な時間に成田空港に到着してしまい。
誰も迎えに来てないので、大荷物背負って電車で横浜に帰ったの。
程よく空いてた車両を見つけて、荷物を肩から降ろし。
ゆっくり読書でもして、時間をつぶすキャシー。
ちょうど仕事で話題になった『The Velvet Rage』って本が手元にあって。
これ、ゲイ精神科医の視点から分析された現代ゲイのライフスタイルについて書かれた比較的マジメで堅苦しい本だったんだけど。
なぜか14時間も飛行機に乗った後に、そんなものを読むことにしたの。
その本がゲイゲイしいオーラを発していたのか。
それとも前髪と後ろ髪だけがっちり金髪に染めたあたしの髪型だったのか。
気が付けば、隣にイケメンの年上のお兄さんが座ってたのよ。
きっとラフレシアの花のよりも強いあたしのフェロモンに惹かれて来たのね。
ラフレシアってフェロモンじゃなくて腐臭がするんだっけ?
まぁ、そんなことは置いといて、そのまま本を読み続けてたあたし。
しかし、なんか隣のお兄さんの様子がおかしい。
やたらキャシーが読んでる本覗いて来るし。
落ち着かないそぶりでそわそわしてる。
「まさか。」
と、思ってたら、キャシーの太ももに相手の手が触れて来たの。
「ええ?これ痴漢で有名な埼京線じゃなくてよ?」
って頭の中で思いつつ、きっと偶然と思って読書を続けたら。
「今度は小指でつんつんしてくるんだけど?」
もう読んでる文字もまったく頭に入ってこないくらい気になる。
キャシーたちが座ってた座席は二人席、つまり横からは誰も見えない。
誰も立ってないくらい車両は空いてたけど、向かいにはちゃんと二人座ってる。
そーっと目を本から話して、まだキャシーをつんつんしてる小指を横目で確認し。
さりげなく、本当にさりげなく前を見たら。
「見てるわ!」
「向かいに座ってる女の人めっちゃあたしのこと見てる!」
もうマジで気まずくて、目を読んでもない本に戻すあたし。
いやね。
ここがハッテン場ならさ。
もうこのままされるがままに、というか逆に襲っちゃうけど。
もちろん、彼氏には事後にお詫びの電話を入れますが何か?
でもこんな公共の場じゃ、いくらイケメンでも何もできないじゃない。
何?まさかこれは新手のいやがらせなの?
だからね。
がまん汁涙を堪えてシカトしたの。
いくらつんつん、つんつんつん、つんつんつんつんされてもシカト。
「このやるせなさ、あなたに理解できる?」
ってあとで友達に力説しちゃうくらい悔しかったわ。
それでも、日本に到着して一時間もしないうちにこんな歓迎をされて。
なんか思いっきりテンションが上がってしまったわけ。
日本ってやっぱり凄い。
本物の変態大国ね!(褒めてる)
これだけでも一時帰国した甲斐があったわ。