キャシーの新居は、一軒家のベースメントで。
大きなキッチンが付いたバッチェラータイプの部屋です。
上の階には他の人たちが住んでいますが、玄関も洗濯機も共同ではありません。
時間をかけて探した甲斐があって、かなり気に入っています。
そんなお気に入りの新居ですが、早くも修羅場な臭いがするのよ。
ゲイの知り合いに紹介してもらったこの家ですが、引越しする前に言われてました。
「上に住んでるのはゲイカップルで、よく喧嘩してるみたいよ。」
ゲイカップル?よく喧嘩する?
別に珍しいわけじゃないし、関係ないわね。
ドラマクイーンには慣れてるので、特に気にしなかったあたし。
引越した初日にインターネットの設置にやってきたゲイカップルに会って。
「ありゃりゃ。こりゃ危険な臭いがするわ。」
って、やっと危機感を覚えたキャシー。
なぜかといえば、2人ともなかなか可愛いのよ!
ヨーロッパ訛りの白人の子と、目がきれいな南米の子のカップルなんだけど。
「レズリービルに住むゲイカップルなんて年配でしょ?」
なんて考えてたあたしの間違いでした。
2人ともキャシーより少し上の美味しい年頃でした。
「キャシーっていうの?よろしくねー。」
と、やたらフレンドリーに自己紹介を済ませて。
なぜかインターネットを繋げるだけなのに、2人ともキャシー宅に上がってきて。
「このバッグ可愛いね。」
「iMac使ってるんだね。」
「この観葉植物可愛いね。」
とか、めちゃくちゃ絡まれるあたし。
「やだ。めっちゃあたしがゲイかどうか探ってるじゃない。」
しかも、キャシーを見る目が明らかに肉食獣だったわ。
これは、油断すると喰われる(喰っちゃう)わ。
喧嘩をよくするカップルと、三角関係なんてとても手に負えないので。
社交辞令だけで済ませて、さっさとインターネットの設置を終わらせたあたし。
これでもうあまり顔を合わせることもないだろうと思ったら。
「インターネット代は、毎月始めに上に届けに来てね!」
ということでした。
そんな最初のお支払いの日。
お金と引越しのご挨拶だけ渡して、そそくさと帰ろうと思ったら。
「あ、ネットの調子はどう?」
と、呼び止められてしまったあたし。
「とても調子いいですよ。ありがとう。」
と振り返って、簡単に答えたあたし。
その彼のキャシーを見つめる目、またも肉食獣の目でした。
「もう、一体なんなのよ!」
こんなやり取りを毎月続けるわけ?
いくらオープンリレーションシップのカップルも多いゲイコミュニティとはいえ。
ハウスメイトに手を出すのは、ちょっとハイリスクローリターンな気がするわ。
果たしてキャシーは肉食獣の誘惑に勝てるのでしょうか。
お願いだから、もうそんな目で見ないでください。