トロントのハーム・リダクション政策。

前回に続き、マリファナ、麻薬と覚せい剤について書いてます。

こちらの記事を読む前に、前回の記事を読む事をおすすめします。

ハーム・リダクション(Harm Reduction)って何?

ってところで前回の記事は終わりましたけど。

ハーム(Harm) = 害

リダクション(Reduction) = 軽減・縮小

つまり、害を減らすという意味です。

薬物防止政策では、薬物による害を減らすという意味で使われています。

ここで重要なのは、“薬物による害を軽減する事”にフォーカスすることです。

たとえば、中毒性の強い覚せい剤を使っている人が居れば。

「それは違法だから、今すぐ止めなさい!」

という風に対応するのではなく。

「しばらく、害が少ない違う薬物を試してみる?」

と、薬物使用者に対して現実的に接し、彼らの安全を守る事に徹しているんです。

薬物使用の違法性を問うわけでもなく、使っている薬物やその行為を否定するわけでもなく。

いかに、その人が安全に薬物の害をコントロールすることをサポートする側に徹するのです。

オランダなどは、この政策を実施していることで有名らしいです。

もちろん、国や地域によって、ハーム・リダクション政策の形は違います。

ヨーロッパに比べて、進んでいないと言われるトロントのハーム・リダクション政策というと。

注射機を使って薬物を摂取する人たちのHIV感染を防ぐために。

ニードル・エクスチェンジ(注射針交換)を提供してるサービスがあったり。

ハーム・リダクションの理論に基づいたカウンセリングや社会復帰プログラムもあります。

キャシーの勤める団体でも、クラブでパーティ・ドラッグを使う人たちのためのサポートがあります。

トロント市の公衆衛生局で働く公務員の中にも、ハーム・リダクションの専門家が数人いて。

「あたし、国からお金もらって、みんなに薬物の使い方を教えるのよ?」

とか冗談まじりで、キャシーの知り合いの職員は言っておりましたけど。

キャシーだって、お金もらってセックスの仕方を教えてるから、似たようなもんよね。

しかし、このハーム・リダクションって概念って賛否両論でもあって。

リベラルなトロントでも、反対派の意見がよく聞こえてきたりします。

なぜか?

それは違法で、ネガティブとされる薬物使用を、ポジティブなアプローチで接しているからです。

「薬物使用者に注射針配ったり、マリファナを提供したりしたら、その行為を防止するんじゃなく、支援してることになるじゃないか。」

って立場の人も多いんですよね。

たしかに、ハーム・リダクションって線引きが難しいです。

サポートしすぎれば、逆に薬物使用という行為をプロモーションしてるように見えちゃうし。

サポートしなければ、危険な行為を行っている人たちはなかなか助けられないし。

「そんな薬物に溺れてちゃうような弱い人はほっとけばいいのに。」

なんていう人もいますけど、薬物使用者でも人権は尊敬されるべきでしょ?

実際に、長い間ハーム・リダクションに取り組んでいるヨーロッパの国々では成功の報告が上がっています。

キャシーが思うに、HIVも、薬物も、けっこう共通点があったりするのよね。

社会の中では、HIVになる人=何か汚い、悪いことをした人って偏見があって。

薬物の場合も、薬物を使う人=悪い人、危ない人、薬物中毒者なんてイメージがあります。

こうしたイメージって、凄く一般的でもあれば、凄く厄介でもあります。

たとえば、たまたま知識がなくて。

友達に勧められたまま、覚せい剤を使うようになった若い男の子がいて。

気付いた頃には、副作用や中毒作用に悩まされるようになってしまい。

それでも、偏見や逮捕される事が怖くて、どこにも助けを求められなくて、落とし穴にハマります。

もし、このときに偏見をしないで、違法性も問わないで、彼を尊敬して接してくれる人がいたら。

もしかしたら、彼が陥っている現状は改善できるのかもしれません。

もちろん、改善=薬物使用を止めるというわけでは必ずしも無く。

彼がいかに健康に、害の少ないライフスタイルを維持できるかが大事になってきます。

キャシーも、ソーシャルサービスワーカーとして。

いかなる偏見もできるだけ頭の中から取り除くように勤めていて。

「あたし、昨日クラブでエクスタシーやっちゃったよ!」

とか友達が言ってきても。

「ええ。そんなこと止めなよ。」

ってネガティブに返すんじゃなく、ポジティブに相手を尊敬することに勤めています。

そう心がければ、自分の意見を押し付ける事無く、相手の助けになれたりするんですよね。

日本にいた頃は全然馴染みがなかったハーム・リダクションという概念。

キャシーブログの読者さんたちは、どのように受け止めるんでしょうか。

あたしの場合、昨年よりハーム・リダクションの勉強を始めていますが、本当に奥深いです。

これからも、チャンスがあればもっといろいろハーム・リダクションについて紹介したいと思います。

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