トロントってマリファナなんか、日本に比べるとだいぶ緩いので。
街を歩けば、一日に一回は必ず堂々とマリファナ吸ってる人に出くわします。
キャシーの友達で、HIV陽性の人とかは、政府公認のマリファナカードとか持ってて。
指定された用量さえ超えなければ、駅前のマリファナショップでマリファナを購入したり。
マリファナバーでマリファナクッキーとかマリファナブラウニーとか楽しめちゃうらしいんです。
どんな味がするのかしら?マリファナブラウニー。
こんなトロントのマリファナに対する姿勢は、日本とはまったく違います。
トロントにいると、マリファナってちょっと値段が高いタバコって感覚なんですよね。
さらに、マリファナ以外にもトロントのゲイコミュニティーでは、驚くほど薬物が出回っています。
テクノやトランスのパーティでは、エクスタシーなどのパーティドラッグを使う人がたくさんいるし。
ハッテン場でも、クリスタルメスなどの覚せい剤を摂取して、セックスする人もたくさんいます。
薬でハイになってセックスすることは、パーティ&プレイ(Party&PlayまたはPnP)って呼ばれています。
「Let’s party and play tonight!」
なんて誘われたら、それは薬物でハイになって盛ろうって意味です。
トロントの人気ゲイクラブのFLYでは、土曜日の夜は薬を摂取する人が集まるのが暗黙の了解で。
ゲイコミュニティーでも、土曜日のFLYはみんながハイで雰囲気が違うって常識だったりします。
キャシーの周りの人と話をしてみても、薬物をたまに使ってる、もしくは使ってた人が多かったりします。
キャシーの薬物経験に近い話といえば。
半年くらい前に、友達とクラブに行く前に家でがぶがぶお酒を飲んでて。
友達がレッドブルとアルコールを混ぜたものを飲ませてきて、普通に飲んだあたし。
クラブに到着すると、いつもと感じが違ったんですよね。
なんか凄くエナジーが溢れて来るし、いつもの数倍は騒いでて。
「キャシー、今日なんかでハイになってない?」
とか他の友達に聞かれるほどいつもと様子が違いました。
そのまま、3時間ほどノンストップで踊ったのに、30分も踊ってないような感覚で。
興奮が収まらないまま家に帰って、次の朝に目が覚めると、凄い疲労感と筋肉痛を感じるあたし。
これはなんかおかしいわねって思って、薬の詳しい友達に電話して相談してみると。
「レッドブルとアルコールは一緒に飲んじゃダメよ?心臓や他の臓器に凄く負担がかかるのよ。」
「栄養ドリンクとアルコールを一緒に飲むと、たしかにハイになるけど、死亡例もたくさんあるくらい危険視されているのよ。だからこっちのクラブでは、レッドブルはお酒と一緒に売ってくれないのよ。」
と教えてくれました。
それ以来、栄養ドリンクとアルコールのミックスには手を出してないあたし。
たしかに人生の中でも最高に楽しかった夜だけど、命には換えられないわ。
キャシーからすれば、お酒も、合法薬物も、違法薬物も一緒で。
用法用量を守らずに摂取すれば、どれにも様々なリスクがあります。
中には中毒性が高いクリスタルメスなどもあるので、安全に楽しめる薬物とそうでないものもありますけど。
薬物大量摂取で意識を失うのと、お酒飲み過ぎて急性アルコール中毒になるのはほぼ変わらない気がします。
だからこそ、薬物やアルコールに関することを学び、自分を守る手段を知ることが大事だと思っています。
日本の薬物への政策というと。
「ダメ。ゼッタイ。」
とか、薬物の恐ろしさだけを強調するものが目立つんですが。
実際、人を怖がらせてばかりだと、差別意識を植え付け、身を守る方法を学ぼうとする人が減ります。
社会が薬物をタブー視するあまり、薬物使用者の立場がなくなり、逆にリスクが増えるんです。
そんなトロントでは、日本とは違うアプローチが薬物防止に使われています。
その名も、ハーム・リダクション(Harm Reduction)!
正直、キャシーもトロントでHIV関係のボランティアを始めるまでまったく知らなかった言葉でした。
長くなってしまったので、詳しくは別の機会にお話しします。