先日、友達に誘われて、夜の散歩に出かけてきました。
特に当てもなくぶらぶら歩いてると、段々とゲイタウンからも遠ざかって来て。
「ちょっと、どこまで行くのよ?あたし明日仕事よ?」
って、心配になって聞くあたし。
「え?どこに向かってるかわかんない?」
って意味深な返答をする友達。
まさか…。
クイーンズパーク?
クイーンズパークとは、トロント大学の中にある大きい公園で。
夜になると人通りも少なくなり、ハッテン目的のゲイが集まる場所でもあります。
あたしの友達は、あたしにその実態を見せようと、こんな夜遅くにキャシーを誘い出したわけです。
公園に到着したのは、夜の11時半を回った頃で。
まだベンチにはノンケのカップルが座ってたりと、ハッテンには早いかと思われたんですが。
周りを見ると、きょろきょろしつつ無意味に公園をウロウロする男たちがいっぱい!
あたしたちは、とりあえずベンチに座って観察開始。
「ほら。あそこと、それと向こうの茂みは一番暗いから、よく人が集まるんだよ。」
「ここからは見えないけど、20人くらいは中でウロウロしてるはずだよ。」
ってプロのような解説をしてくれた友達。
というのも、彼はキャシーとは同業者で、違う団体でゲイ男性向けのアウトリーチ活動をしているんです。
キャシーが以前から公園のハッテンに興味があったのを知ってて、今回連れて来てくれたんです。
2人でさらに茂みの奥へ進んでみると、もう凄いんです。
茂みの外からじゃ全然わかんなかったけど、本当に20人ほどがハッテンしてる。
木の側に立って待ち子する人も居れば、タイプの人を歩きながら探してる人も居ました。
若くて、イケメンな人もたくさん居て、キャシーも危うく誘惑に負けて参加するところでした。
まだ時間帯が早かったのか、それとも暗くて見逃したのか、実際にセックスをしてた人は見ませんでした。
これを読んで、ゲイってこんなことしてるから差別されるんだって思う人も居るかもしれません。
確かに、野外で公共の場でのスリルを楽しむために、ハッテンしてる人も居ると思います。
だけど、公園に来てまでセックスする相手を捜すのにも理由があるはずです。
こうした公共ハッテンをする人の中には、クローゼットだったり、ゲイを自己否定している人が多く。
しかし、いくらそれに蓋をしたところで性欲は抑えられないし、男と盛りたくなるのでしょう。
だから、誰にもバレないような便利な場所でハッテン行為をしてしまうんです。
ハッテン場を利用している人の多くでさえ、所帯持ちや二重生活を送っている人が多いのに。
そのハッテン場に入れないほど追いつめられている人たちが、この公園に来るのかもしれません。
社会に溢れる差別意識や生きづらさも、こうした公共ハッテンの理由の一つだとキャシーは考えます。
キャシーたちは、長居せずにそこをすぐに離れたんですが。
いろいろと疑問が溢れ出て来て、ついつい友達を質問攻めにしちゃうあたし。
「みんなあんな環境下で、コンドームとかローションとか使ってるわけ?」
「いや。けっこう使ってないケースが多いと思う。」
「じゃ、なんでうちらはそこでアウトリーチしてないわけ?」
「一つは安全性の問題、もう一つはトロント市の都合で、数年前から公園アウトリーチは中止になったんだよ。」
キャシーより長く働いてる友達によると。
昔はクイーンズパークの木の枝に、コンドームをぶら下げる活動もあったらしいんです。
しかし、ハッテン公園は決して安全な場所ではないし、ヘイトクライムも起こりやすく。
特にクイーンズパークはノンケの間でも有名なハッテン場なので、ゲイに暴力を振るいに来る人も多いんです。
ヘイトクライムが少ないとされる日本でも、2006年の新木場の撲殺事件が起きていたりするほどですから。
ヘイトクライムがもっと多いであろうトロントの公園でハッテンなんて、本当に命がけのことです。
もしキャシーがコンドームを配っていたとしても、暴行に巻き込まれる可能性だって多いにあります。
だから、そうしたHIV啓発アウトリーチ活動が次第に無くなっていったとされています。
アウトリーチスタッフの安全性以外の理由としては。
トロント市として、トロント市がお金を提供している活動が、公園でアウトリーチなんかしてしまうと。
「トロントはゲイに公園で安全に遊びましょうってメッセージを広めてるのか?」
なんて難しい議論になってしまうんですよね。
だから市としても、あたしたちに公園でアウトリーチをしてほしくないわけです。
じゃ、今もあの公園で生で性行為してる人たちを無視すればいいってことなの?
ってキャシーは全然釈然としないんだけど、実際にアウトリーチをすることになったら、それはそれで怖いし。
こうやって公園でハッテンしている人たちをサポートできる他の手段を考えるのが宿題になりそうです。
こうした問題って、場所を無くすとか、蓋をすればいいって考え方では解決できないんですよね。
だからこそ、トロント市がそこを無視してしまうのは、少し悲しい現実に思えました。
久々のハッテン場ネタを面白く、過激に書こうと思ったのに、マジメになってしまったわ。
最近、ついつい熱く語っちゃうことが多くて…年かしら?