キャシーはアジア人ゲイたちのために働いているわけですが。
これだけ毎日いろんなアジア人ゲイと顔を合わせていると、様々なことが見えてくるんです。
あたしが日本に居たときは、多数派はやっぱり日本人だったし。
当たり前のように、日本人だと意識せずにゲイライフを楽しんでいました。
それがトロントに来ると、この人種というカテゴリーが突然自分に降り掛かって来て。
“アジア人”という部分が自分の大きな要素になってしまったわけです。
だから日本でグラインダーを使った時、凄く興味深かったんですよね。
だって、そんなカテゴリーに慣れてないはずの日本人ゲイたちがその選択肢に答えてるんだもん。
しかし日本に居て、日本人に囲まれてれば、そんなカテゴリーは対して意味を持たないのも事実。
それが本当に深刻な問題になって来たのは、あたしがトロントに来てからでした。
北米での“アジア人男性”というステレオタイプが自分に付きまとうんですよね。
背が低い。
華奢。
従順。
フェミニン。
チンコが小さい。
魅力的じゃない。
セクシーじゃない。
アジア人アクセント。
目が細い。
などなど、上げたらキリがありません。
ハッキリ言えば、こんなイメージなんて欲しくないじゃない。
シビアなゲイ業界では、こんなイメージがあってはまったく売れません。
トロントに来るまではモテモテだったアジア人ゲイが、来てからはめっきりなんて、よく聞く話です。
所詮白人中心主義な北米、アジア人の需要なんて微々たるもの。
こんな社会に対応するために、アジア人ゲイたちも適応するわけです。
アジア人と距離を置いて、白人のメインストリームなイメージに自分を近づける人。
微々たる数しか居ないアジア人好きなイケメン白人たちを争う選手権に参加する人。
かなり年上の白人のおじさんと付き合って、白人の彼氏という称号を手に入れる人。
白人はあきらめて、アジア人ではない別の人種で落ち着く人。
アジア人同士で付き合う人。
アジア人がセクシーだというイメージを広めるために頑張る人。
などなど、これも上げたらキリがないけど、キャシーが見たトロントのアジア人コミュニティーはこんな感じです。
あたしの主観がばんばん入ってますので、突っ込みもお待ちしております。
キャシーだって。
アジア人のステレオタイプから離れていたりもして。
アジア人って言わなければ、正直もっと興味を持たれることも多いんです。
でも、そんなことで、自分のアイデンティティーを踏みにじるのも悔しい。
そして、そんなジレンマに陥るんです。
白人中心主義社会、アジア人というラベル、そしてアジア人であることの葛藤。
これがまさにトロントのアジア人ゲイコミュニティーの大きな問題となっているのよね。
本当に、可愛い男を見つけても。
「あの子、あたしのこと気に入るかしら?」
って思う前に。
「あの子、アジア人好きかしら?」
って先にそれが判断材料になるっていうのが悲しいわよね。
アジア人ってラベル、いったいなんなのでしょうね。