セクシュアルヘルスやセーファーセックスの現場で働いていると。
もう右を見ても、左を見ても、上を見ても、下を見ても、コンドームだらけ!
あたし、このままじゃコンドームの悪夢にうなされそうよ。
恐怖!キラーコンドーム!
(チンコを喰いちぎるコンドームと巨根ゲイ警部の戦いを描いた映画『キラーコンドーム』より。)
って、話がずれてしまったけど、コンドームの話だったわよね。
キャシーの仕事では、ボランティアと一緒にコンドームを配ることも多いわけですが。
コンドームを渡せば、みんな安全に守られて、HIVも怖くない!
なんてそんな簡単なものだったら、キャシーの仕事は必要ありません。
コンドームはたしかに大事なものの一つですが。
コンドームだけでセーファーセックスは成り立ちません。
コンドーム嫌いの彼氏を持った女の子は、いくらコンドームがあっても、知識があっても。
その彼氏さんが彼女を尊敬して、コンドームを使ってくれなかったら意味がありません。
だからこそ、セーファーセックスとは。
コミュニケーションであって、尊敬し合うことであって、自分に対するケアでもあります。
コンドームを使うだけではなく、それ以上のものなんです。
しかし、簡単そうに聞こえても、そんなことが難しい社会なのです。
セックス自体が恥ずかしいこと、隠すべきこと、不潔なものだと考える社会と。
性病に対する偏見や恐怖は、必要以上に人々を怖がらせて。
検査にも行けず、相談もできず、悩みを抱え込む人がたくさん居ます。
男女間なら、男尊女卑の概念が無意識に男性にも女性にも影響して。
女性がセックスに対して主導権がなく、男性と上手にコミュニケーションができなかったりします。
男女差別がないゲイの社会でだって、障害はあります。
たとえばセックスやゲイ業界に知識がない若いゲイの子が、年上のゲイの人に遊ばれちゃうことだってよく聞くし。
若い子が何も知らないのを良いことに、ドラッグを飲ませたり、生で掘られたりするわけです。
トロントだと、それがさらに複雑になって。
人種差別、宗教観、言葉の問題などによって、そもそもセーファーセックスという概念にたどり着くまでが本当に大変なのです。
だからこそ、こうした障害に阻まれた人たちに、コンドームを渡したところで、意味が無いんです。
キャシーが小中高の性教育で教わったのは、本当に適当な内容のセーファーセックスで。
「エッチのとき、コンドームをして性病から身を守って、避妊しましょう。終わり。」
コンドームを使うまで、使ってる最中、使ったあとの話がないわけですよ。
ただのコンドーム使い方講座ではなく、何がセーファーセックスで、なぜそれが大事なのかの方が大事なのに。
だから、キャシーがセーファーセックスについて教えるときは。
基本知識とコンドームの使い方講座に半分、そしてセーファーセックスとは何かに半分時間を使います。
そして、人それぞれに、人それぞれのセーファーセックスがあるとあたしは考えていますので。
いつも意見や考えを共有できるよう、セックスについて語れる場を作っています。
セーファーセックスって、けっこう奥深いんですよ?
あなたにとって、セーファーセックスってなんですか?