プライド中といえば、キャシーが一番忙しい時期で。
今年は、コミュニティーで働く一人として、やることがいっぱい。
もうプライドが終わるまで、ゆっくりしてられる時間なんてありません。
今日も、やっとのことで仕事を7時半に終わらせたのに。
友達から電話がかかってきて。
「あんた、今から519に来なさいよ!」
と、ゲイタウンの中心にある519というコミュニティーセンターに呼び出されるキャシー。
どうせ帰り道に通るので、寄ってみたのですが。
友達に会った瞬間。
「はい。このTシャツ着て!」
「Mサイズだけど、キャシー太ってるからちょうどね!」
と強引な上に、キャシーより毒舌な友達のせいで。
仕事の後で疲れてるのに、ボランティアをさせられるはめに。
いったい何のボランティアだったのかというと。
プライドウィークに毎年行われる、エイズで亡くなった方のための黙祷イベントのために。
街頭でキャンドル、レッドリボン、プログラムを配り、募金も一緒に集めてることです。
仕事に行って帰るつもりだったので、髪の毛さえセットしてなかったあたし。
それでも、笑顔を振りまき、ゲイタウンの街頭で募金集めを頑張りました。
ボランティアするの自体、凄い久しぶりで、しかも未経験の募金集めってことで。
初心に返った気持ちで、もう一生懸命やりました。
街頭で人からお金を寄付してもらうとか、本当に勇気と広い心が必要で。
どんなに怖い人でも、頑張って話しかけなきゃいけないし!
どんなにムカつく態度を取られても、ありがとうと返せる余裕が必要!
日本の接客業で培ったスキルが今やっと役に立ちました。
おかげさまで、1時間ちょっとでキャシーの募金箱はずっしり重くなって。
そのまま、ボランティア後は黙祷イベントに参加してきました。
キャシーが何より驚いたのが、多くの人がこのイベントに来ていたこと。
トロントのゲイタウンの中心にあるエイズメモリアル公園は、もう満員状態。
みんな手にキャンドルを持ち、黙祷を捧げていました。
HIVやAIDSって、やっぱり北米のゲイコミュニティーでは大きな問題で。
以前ほど関心が高いわけではなくても、未だにこれだけの人がイベントに集まるんです。
募金を集めてるときも、70%の人が進んで寄付してくれて、とても意外に感じました。
しかし、やっぱり参加者の中に若い人はあんまり居なくて、少し寂しく感じました。
黙祷イベントでは、アーティストたちが歌を披露し。
最後に合唱隊の素晴らしいパフォーマンスで締めくくられ。
公園を後にする人たちは、ロウソクを公園のあちこちに差し、帰って行きました。
みんながこうして、エイズで亡くなった人々のために毎年黙祷するなんて。
トロントのLGBTコミュニティーってやっぱり、団結力があるなと感じたキャシー。
あとはキャシーが頑張って、来年もっと若い子を連れて来れば完璧かしら!
イベントが終わる頃には、もうヘトヘトで倒れそうでしたが。
こんな素晴らしいイベントに少しでも貢献できて、嬉しかったです。
そういえば、昔は街頭でボランティアしてれば、毎回のようにナンパもされてたあたし。
なのに、今日は誰からも色目さえ使われなかったわ!
やっぱり、もう22歳の頃とは輝きが違うのかしら。