キャシーが1年近くトロントで生活してきて。
一番身近に感じる人種問題は、ゲイコミュニティーから見えるものです。
まず。
トロントのゲイコミュニティーには。
強力なメインストリームがあります。
背が高くて。
鍛えられていて。
ブロンドの短い髪に、白い肌、そして青い瞳。
アグレッシブで、スポーツ万能な人。
要は、ステレオタイプな白人です。
もうポルノだって。
エロ本だって、ゲイ雑誌だって。
中心に居るのはいつも彼らです。
アジア人、黒人、ラテン系なんて。
ジャンルの1つでしかないのです。
ステレオタイプの白人たち。
彼らこそが、この文化の美の象徴です。
しかし、トロントというこの街。
様々な人が居るわけです。
そのイメージにフィットする人もいれば。
そのイメージをまねる人も居ます。
そのイメージを追い求める人もいれば。
そのイメージからはみ出る人も居ます。
しかし、結局はそのステレオタイプな白人であることが、力なんです。
ミドルクラスの白人ゲイで。
30代ほどで、パートナーが居て。
チャーチ通りの近くのコンドミニアムに住んで。
アバクロのシャツをお揃いで着て、週末にスターバックスで白人の友人たちと過ごす。
これが「ゲイ」なのです。
これにはみ出してしまっている人には、光も当たりません。
このゲイコミュニティーでも。
黒人は「野蛮」で「無知」と扱われて。
アジア人は「シャイ」で「ブサイク」な象徴にされてます。
キャシーがいつも目を通してるゲイのフリーペーパーに。
トロント内のクラブイベントの写真を集めたページが毎週載っているんですが。
そのページに載っている人たちは。
若くて、スポーティな白人ゲイが30人近く。
白人のドラァグクィーンが数人。
レズビアンが1人。
黒人ゲイが1人。
アジア人ゲイが1人。
って、毎週こんな感じです。
キャシーが参加してるイベントで、カメラマンを見かけても。
彼らが狙って撮るのは白人だけ。
そのカメラマンはアジア人なのに、彼に見えるのは白人だけ。
そのレンズに収まるためには、白人にならなければいけないの?
結局。
この街のゲイコミュニティーは。
多民族で構成された。白人のための場所なのです。
そのメインストリームに入れない人は、「ゲイ」ではない他の何かです。
この延長線上に。
ライスクイーンとポテトクイーンの問題があるんですが。
こちらが一番過激になっちゃうのかしら?
それはまたの機会に。