家に5日間も引きこもってたら。
さすがに、友達が心配してくれて。
「トロント大学でトランス・ジェンダーに関する授業があるから来なさい!」
ってついに引っ張り出されました。
久々に来るダウンタウンはちょっと新鮮。
トランス・ジェンダーというのは。
日本では性同一性障害とかって呼ばれていたりしますが。
トランス・ジェンダーの方がネガティブな意味が無くて、感じのいい表現だと思います。
だって、性同一性障害って病気みたいじゃない。
「あたし、トランス・ジェンダーの友達がいるのよ。」
「あたし、性同一性障害の友達がいるのよ。」
ほら。一目瞭然。
まぁ、言葉よりも意識の方が大事だったりしますが。
そんなトランス・ジェンダーについては。
知っているようで、なかなか同性愛者とは抱える問題が違うので。
LGBTとか、セクシュアルマイノリティーって同じ土俵に立っていても。
たまに失礼なことや、デリカシーの無いことを言ってしまって、恥ずかしいキャシーです。
だから、新年一発目から新しいことを勉強するのもいいか!
って、一緒に教室に向かったんですが。
その教室がゼミ室みたいで、超少人数のクラスなわけ!
キャシー、トロント大学の学生じゃないし!
とか思って、逃げようと思っても、友達が逃がしてくれなくて。
とりあえず座って、周りの人と自己紹介して、雑談開始。
数人から。
「あれ?あなた?この前のステージ見たわ!」
とか言われて、ちょっと嬉しいキャシー。
あんなのでも、けっこう宣伝効果あるのね。
で、この授業。
やっぱりハードルが高いようで、ゲイ男性の学生はあたしと友達の2人だけ。
トロント大学の社会学と性の多様性専攻の授業だし、ゲイ男性の学生がもっと居てもいいのに。
しかし、授業開始5分後に。
遅れて、一人の男の子が教室に入ってきたんです。
あら。こんな授業に出るなんて、なかなかステキね。
って思って、顔もチェックしてみると。
ひゃだ!
可愛い!
黒髪に、トルコ系の顔に、爽やか水色のシャツ!
一目ぼれよ!一目ぼれ!月に一度の一目ぼれよ!
キャシー、もう授業より、その男の子に釘付け。
周りの友達に、コソコソ。
「ねぇ?誰?あの子?知ってる?」
とか調査まで開始。
で、先生の質問にその子が答える瞬間。
もうキャシーのハートはとろけました。
セクシーなアクセントがかかった英語に、綺麗な声。
もう完璧に授業そっちのけなキャシー。
そして、先生が途中で挙手アンケートを少しとっていて。
「福祉関係やコミュニティー関係のボランティアをしている人?」
って聞いたときに、彼の手が上がっていて。
キャシーはもう。
よっしゃぁぁぁああああ!!!
とか叫ぼうかと思ったくらい。
顔が良くて。
仕草も、声も可愛くて。
ジェンダーやセクシュアリティーの学問をかじってて。
ボランティアやアクティビズムに関わっているなんて。
もうキャシーのために、用意されてる男よね?
運命の出会いよ!運命の出会い!
でも・・・。
ちょっと待って・・・。
あたし、このクラスに来れるの今日限りじゃない!
来週からは、キャシーのカレッジの授業が始まっちゃうし。
今話しかける?
「君の運命の人です。デートしてください。」
って。
うん。タダの変人ね。
だから、クラスに参加してる友達たちに。
「あんたたち!あの男の子と友達になっておくのよ!」
「あたしより先に手出したら、承知しないから!」
「そして、今度紹介しなさいよ!」
って礼儀正しくお願いしておきました。
どきどきっ!
あれ?トランス・ジェンダーの授業どうなったの?
とか聞かないで下さい。
1回目の講義だったし、基礎知識のおさらいだったの。
来週もお忍びで来ようかしら・・・。
はぁ、どうしていつもステキな男の子は遠くに居るのかしら。