金曜日の朝。
夕方のワークショップに備えて資料を用意して。
ちょっと緊張しつつ、学校に向かったあたし。
トロントの朝日新聞、トロントスターを一部とって。
今揺れに揺れているカナダの政治を確認しながら。
クラスの席に腰掛けると・・・。
先生が不適な笑みを浮かべて。
「先週はキャシーくんのエッセイで、議論が盛り上がったので。」
「引き続き、同性愛についてディベートします。」
って一番やりたくないことを提案される。
そもそも、ディベートを用意する際。
トピックはおよそ半分半分で同意か反対に分かれるものにするべきで。
このクラスのように、20人反対キャシーだけ賛成でやってはいけないもの。
しかも、そのディベートの前に。
自分が通っていた大学にあった、レズビアンのグループの話をしだす先生。
「全員が物凄いブサイクだった。」
って笑いながら、平然とそんなことを話し出し。
さらに。
トロントのジョージ・ブラウン・カレッジでは。
「男が女子トイレに入っても、止めちゃいけないことになっているんだ。」
って言って。
「じゃ、僕も自分を女だと思えば、女子トイレに入れちゃうのかな?」
と。
もう完全にトランスの方をバカにしたような話を平然と続ける彼。
これ、黒人に置き換えれば。
「僕も体を黒に塗れば、黒人になれるのかな?」
って言ってるくらい失礼な話です。
キャシーはさすがにちょっと気分が悪くなって。
1回、トイレに行って、顔洗って。
「落ち着け~。落ち着け~。」
って唱えて。
席に戻る。
すると、グループごとにディベートが始まってて。
コロンビア人の女の子。
サウジアラビア人の男の子。
中国人の男の子が2人。
のグループに座らされたキャシー。
もう最初は黙ってようかと思ったんだけど。
「同性婚認めたら、みんなゲイになって、人間が滅びる。」
「ゲイの親に育てられた子供は、問題も持つ。」
「ゲイは少数だから、そのために結婚を作る必要は無い。」
なんて、めちゃくちゃな議論を自分の目の前で繰り広げられたら。
もうなんか口が勝手に開いていて。
「どうやって、みんなゲイになるの?ゲイはほとんどみんなストレートの家庭で育つのに、みんな立派なゲイになってるけど?どんな根拠があるわけ?僕が今ゲイになれって言ったら、あんたゲイになるわけ?」
「ゲイの親も、ストレートの親も、何をするかが問題であって、その人のセクシュアリティーは関係ないでしょ。黒人が育てた子供は、白人が育てた子供より劣るわけ?」
「少数者は無視するべきなら、世界にあるチャイナタウンは全部破壊するべきね。老後は年金の前に、退職時に殺されるべきなのかしら?多数派は、少数派をサポートするべきなんじゃないの?」
ってばーってマシンガンで全部反論して。
みんなポカーンっって顔になってました。
大体の議論はねじ伏せたんですが。
サウジアラビア人の子がイスラム教の話をしだして。
旧約聖書に載っている『ソドムとゴモラ』の話を持ち出されてしまったんです。
一応、話は知っていましたが。
宗教を反論するほどの知識は持ち合わせていないキャシー。
「話の解釈の仕方は何通りもある。リベラル派では別の読み方がされてる!」
って反論したら。
「コーランは一つ!黒はいつでも黒だ!」
って怒られて。
いやいや・・・。
色なんて特に、文化によって定義の仕方が違うのに。
その後。
クラス全体ディベートになり。
「同性婚はカナダみたいな国だけにあればいい!」
とか。
「男と男が一緒に暮らしても、何も生まれない。」
とか。
「ゲイは全人殺せばいい!」
とかめちゃくちゃになってきて。
キャシーが1人で応戦。
ビックリしたことに、この前の反対派だったコロンビアの女の子が仲間についてくれて。
あともう1人、スペインの女の子も一緒に応戦してくれました。
ディベートが終わったあと。
キャシーはもうヘトヘト。プライドもずたずた。
ちょっと半泣き状態で、ダウンタウンに向かいました。
この授業の進め方は、完全にゲイバッシング・トランスバッシングに当たると思っていますので。
カレッジ宛に手紙を出そうと思っているキャシー。
こういったディベートを行う場合。
司会者ともなる教師は、中立もしくは少数派をサポートする側に徹し。
ディベートを円滑に、こういった事態にならないように進めることが必要です。
それができないなら、こうしたトッピクは避けるべきであって。
ディベート前に、レズビアンやトランスの方をジョークに使うなんてもってのほか。
人権意識を疑います。
まぁ、アクティビストとしては良い経験でした。
ムスリムの人たちと、同性愛でこんなに白熱することなんて滅多にないもの。
ここまで、露骨に同性婚をサポートしちゃったキャシー。
もうみんなからゲイだって思われてます。
学校はあと1週間、防弾チョッキとか必要かしら?